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ハロウィーン・パーティ(名探偵ポワロ) [アガサ・クリスティー]

「名探偵ポワロ」ウィーク第三夜。

名探偵ポワロ ニュー・シーズン DVD-BOX 4

名探偵ポワロ ニュー・シーズン DVD-BOX 4

  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • メディア: DVD

田舎町の家でハロウィーン・パーティーが開かれ、ポアロの知人の推理小説家アリアドニ・オリヴァの姿もあった。楽しい時間を過ごすなか、少女ジョイスが突然「殺人を見たことがある」と言いだす。

原作はこちら[右斜め下]
ハロウィーン・パーティー (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

ハロウィーン・パーティー (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 作者: アガサ・クリスティー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2003/11/11
  • メディア: 文庫
個人的に、この原作は起承転結の「起・転・結」は悪くないけれど、「承」が良くない作品。
とにかく、アガサ・クリスティーの保守思想が至る所に表れ、(いや、その思想に対して個人的に同意する点は多いけれど、、、)過去への郷愁、現在(この作品が発表されたのは1969年)への不平・不満、そして、何と言っても「精神障害者による犯罪」への言及があちこちに書かれていて、かなり辟易します(;´Д`)
そして、この物語を支配する幻想的な雰囲気、やたらと多い登場人物やレッド・ヘリング(赤い鰊)>、つまりミスリーディングで、すっかりゴチャゴチャになってしまい f^_^;
だから、今回のドラマ版ではその辺りがどの程度整理されているのかを楽しみにしていました。

今回の事件は、クリスティー後期の作品によく見られる<回想の殺人>がテーマになっています。
原作では、オリヴァ夫人から事件を知らされたポワロは、まず事件の現場「ウドリー・コモン」に隠居しているスペンス元警視を訪れ、その後、彼の妹エルスペス・マッケイとともにウドリー・コモンの過去の事件を洗い出しますが、このドラマではスペンス警視も彼の妹も登場しません。

スペンス警視と言えば、『マギンティ夫人は死んだ』(ドラマ版:名探偵ポワロ ニュー・シーズン DVD-BOX 3)に登場する警視さん(で、この物語にはオリヴァ夫人も登場します。)
『満潮に乗って』にも登場するスペンス警視ですが、実は、原作的には『マギンティ夫人は死んだ』と『満潮に乗って』名探偵ポワロ ニュー・シーズン DVD-BOX 2)に出てくる「スペンス警視」さんは別人。
ドラマ版では同一人物です(^_^;)

今回のドラマで登場する地元警察のラグラン警部は原作にも登場しますが、ドラマでは最初、ポワロに非協力的。
それが、
「上の方の伝手(つて)=ロンドン警視庁」
により、ポワロに(渋々ながら)協力するようになります。
この伝手は、「ロンドン警視庁犯罪捜査課の元高位警察官」であるスペンス警視のことでしょう。

さて、ドラマではスペンス警視も彼の妹も出てこないので、過去の事件の回想は何やら不気味なグッドボディ夫人とともに行われます。
回想された事件は3件。(原作では4件。)
殺された少女ジョイス・レイノルズは、果たしてどの殺人を目撃したのでしょうか・・・?

原作では、殺された少女ジョイス(13歳)には姉と弟がいる設定でしたが、このドラマでは兄一人です。
姉の有無はさておき、弟よりは兄の方がいいでしょう。
原作のように「弟」だと・・・[がく~(落胆した顔)](後述)

造園師マイケル・ガーフィルドの手による「庭」は、原作ではアイルランド的で「妖精によって造られた地」のような雰囲気がある石切り場園(クオリ・ガーデン)であり、それまでポワロが偉大な傑作と認めてきた形式的な美とは全く異質な庭園である。
…にも関わらずポワロは感嘆しますが、今回のドラマでは正にポワロ好みの幾何学的な庭園でした。
そのせいか、ドラマには「井戸」がなかったですね。
少し残念。

ロウィーナ・ドレイク夫人を演じたデボラ・フィンドレイさんは、見てすぐに分かりました(^^)v
「あっ、シャーロック・ホームズの冒険[完全版] DVD-SET6『ボール箱』のサラさんだ。」
と。
(15年くらいの年月が経過していますが、特徴的なお顔立ちなので(^^ゞ)
また、面白い雰囲気を醸し出していたドレイク夫人の娘&息子は、ドラマオリジナルのキャラクター。

冒頭でのハロウィーンの描写は興味深かったです[モバQ]
原作に出てくる「リンゴ食い競争」「アップルボビング」と言うんですね)や「スナップ・ドラゴン」(ぶどうつまみ;ブランディが燃えている皿[どんっ(衝撃)]から、ぶどうを取って食べる遊び)がどういうゲームなのか、いまいちイメージが沸かなかったので(^。^)
ただ、もう少し「リンゴを絵的に強調してほしかったなぁ。

また、同じく原作にあったポワロの「エナメル靴」についての描写があったのも、よかったです(・Ω・)/
(吹き替えでは「革靴」でしたが。)

後は、本作のネタバレにつながるので、これから下の文章を読むときはご注意を!






「水」については、ほぼ原作通り。
これが手掛かりになりますが、クリスティーの諸作の中でも上手な部類に入ると思います。

先に書いたように、第二の殺人被害者はジョイスの兄レオポルドですが、原作では「弟」です。
・・・弟が犯人を強請ったんですね(((n;‘Д‘))η

原作との相違を挙げるとキリがないので、もう1つだけ。
「名探偵ポワロ」シリーズの作法通り、このドラマでも最後にポワロが事件関係者の前で推理を披露しますが。。。
それにより、ミランダの目前で、
「ミランダの父親はマイケル・ガーフィールド。」
と指摘しちゃいました[たらーっ(汗)]
このキャラクター設定は原作通りではあるのですが、原作ではその事実はミランダに知らされません。
ミランダ(原作では12歳)は想像力たくましい性格なので、、、トラウマになってしまうのでは((´д`)) 


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むらひで

ポワロは、昔熱心に読んだ推理小説の主人公で、好きなベスト3に入っていました。
by むらひで (2012-02-10 13:11) 

AP

はじめまして。
今週のポワロ週間楽しかったですね。
オリエント以外は原作をよく知らなかったので
新鮮な気持ちで楽しめました。
管理人さんの検証で、原作とテレビ版の違いもおもしろかったです。
昨日のオリエント急行は、かなり終盤を脚色してましたね?
あと医師は原作や映画は無関係ではなかったですか?

by AP (2012-02-10 23:03) 

Yuseum

>むらひでさん、コメントありがとうございます。
実は、私の場合、ポワロ(というよりクリスティー)を真面目に読み始めたのは、20代に入ってからでした[あせっ]

>APさん、コメントありがとうございます。
『オリエント〜』については仰るとおり、原作&映画においては医師は第三者です。
これについては、近日中に拙ブログに書きたいと思っています。
by Yuseum (2012-02-14 08:45) 

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