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『カササギ殺人事件』の作者が贈る新たなミステリ:『メインテーマは殺人』 [Mystery]

昨年のミステリランキングを席巻したアンソニー・ホロヴィッツ『カササギ殺人事件』(拙ブログでもご紹介)
7冠制覇の『カササギ殺人事件』にも負けない傑作が、この秋に出版されました。

メインテーマは殺人 (創元推理文庫)

メインテーマは殺人 (創元推理文庫)

  • 作者: アンソニー・ホロヴィッツ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/09/28
  • メディア: 文庫



本作の特徴は、語り手である「ワトスン役」がアンソニー・ホロヴィッツさん自身であること。
そして、前作とは違って、探偵役は元刑事のダニエル・ホーソーンという人物であること。
(なお、解説によれば、前作で登場した名探偵アティカス・ピュントの続編についても、書く意思を示しているそうです。)
この物語世界は、ホロヴィッツさんが 『シャーロック・ホームズ 絹の家』 (角川文庫)を完成させたばかりで、『刑事フォイル』のMI5編の制作を模索していた、2011年のロンドンが舞台になっています。



この第1章、探偵役のホーソーンに即座にダメだしされてしまうのですが、重要な章となっています。
ホーソーンなる人物、最初はどうも好感を抱けないのですが、それもそのはず、著者のホロヴィッツさんがあまり好ましく思っていないからです。
でも、最後には…どうなるのでしょうか[exclamation&question]


この作品、海外ドラマや映画に関心のある方にとっては、より楽しめる構造になっており、ホロヴィッツさんが手がけた作品はもちろん、ある登場人物が某有名ドラマや映画に出演していた、などと書かれていたりするなど、どこまでが真実でどこまでが創作なのか、思わずニヤリとさせられる部分も多々あります。
ある超有名人たちもカメオ出演されているのですが、これなどWikipediaによれば、、、


あ。
Wikipediaに掲載されている情報について、ホロヴィッツさんが触れている部分(これ、私たちも心の隅に止めておく必要があるでしょう)も本作にはあるので、ここでは割愛しましょう[あせあせ(飛び散る汗)]


そういうわけで、途中までは事件の謎そのものより、本筋から逸れたところで展開される話の方が興味深かったりもするわけですが、やはりこの作品の主題(メインテーマ)となるのは殺人
(ちなみに、本作の題名となるこのフレーズは比較的早々に登場します。)

誰が殺人を犯したか(フーダニット)の興味もさることながら、なぜ殺されたのか(ホワイダニット)というところが明らかになるにしたがって、それまで散らかっていた事実がきれいに収束していくところは、本作の読みどころとなっています。


個人的には『カササギ殺人事件』の方がやや好きな私ですが、『メインテーマは殺人』の方が玄人受けしそうな気がしており、ホロヴィッツさんはテクニシャンだなぁ、という印象がますます強くなりました。
本国では、このホーソーンとホロヴィッツさんが活躍する第2作目が既に刊行中のようで、この続編も来年には創元推理文庫から翻訳刊行されるそうなので、次回作も楽しみにしています。



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