アガサ・クリスティへの完璧なオマージュ
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イギリスの出版業界ミステリ21世紀に書かれ翻訳された謎解きミステリの最高峰といっても過言ではない。— 川出正樹氏
(上巻オビより抜粋)
控えめに言っても、2018年に最も読むべき謎解き小説の1冊が本書である。古典的探偵小説に関心を持っている人なら、その度合いはさらに跳ね上がる。— 杉江松恋氏
クリスティに限らず、シャーロック・ホームズや英国ミステリドラマ、ひいては本格ミステリ全般に関心のある方には是非読んでもらいたいミステリが登場しました#59101;
One for sorrow, 一羽なら悲しみ、
Two for joy. 二羽なら喜び。
Three for a girl, 三羽なら娘、
Four for a boy. 四羽なら息子。
Five for silver, 五羽なら銀で、
Six for gold. 六羽なら金。
Seven for a secret, 七羽ならそれは、
Never to be told. 明かされたことのない秘密。
Two for joy. 二羽なら喜び。
Three for a girl, 三羽なら娘、
Four for a boy. 四羽なら息子。
Five for silver, 五羽なら銀で、
Six for gold. 六羽なら金。
Seven for a secret, 七羽ならそれは、
Never to be told. 明かされたことのない秘密。
これは英国に古くから伝わるカササギ(magpie:マグパイ)の数え唄で、色々なバージョンがあるようですが、これからご紹介するアンソニー・ホロヴィッツ『カササギ殺人事件』Magpie Murders では上に記した歌詞が記されています。(英文は記されていませんが、翻訳からこのバージョンだと思われます。)
出版前から話題になっていたため、本の内容に関する情報を遮断して本作(上・下巻)を読みました。
深夜に読了し、興奮してツイート。
深夜に読了し、興奮してツイート。
一番上の引用も、あながち誇張ではなかったです。
このブログ記事では、『カササギ殺人事件』に興味のある皆様のために、主に上巻について【ネタバレなし】でご紹介しますが、その前に。
作者アンソニー・ホロヴィッツについて
『カササギ殺人事件』は、アンソニー・ホロヴィッツがYA向け以外で初めて書いたオリジナル・ミステリのため、この作者についてご存じでない方もいるかもしれません。
そこで、まず作者についてご紹介します。
アンソニー・ホロヴィッツ - Wikipedia
そこで、まず作者についてご紹介します。
アンソニー・ホロヴィッツ - Wikipedia
小説家としてのアンソニー・ホロヴィッツ
アンソニー・ホロヴィッツと聞いて、私がイメージするのは「マルチタレントな人だなぁ」という感じ。
日本でも比較的知られているのが、YA向けの「女王陛下の少年スパイ! アレックス」シリーズ。
邦訳版は漫画家の荒木飛呂彦さんがイラストを手がけていますが、このシリーズ第1作『ストームブレイカー』は後に アレックスライダー [DVD]というタイトルで映画化されています。(この脚本もホロヴィッツが担当。)
Kindle版: シャーロック・ホームズ 絹の家 (角川文庫)
Apple Books版:シャーロック・ホームズ 絹の家 - アンソニー・ホロヴィッツ & 駒月雅子
Kindle版: モリアーティ (角川文庫)
Apple Books版:モリアーティ - アンソニー・ホロヴィッツ & 駒月雅子
シャーロッキアンなら、アーサー・コナン・ドイル財団が正式にホームズシリーズの公式続編として認めた、この2作品の作者として知っているでしょう。(この2作に関連性はないので、どちらから読んでも構いません。)
私はこの2作を読んで、
「トリッキーな作品を書くなぁ。(特に『モリアーティ』。)」
という印象を強くしました。(なお、『シャーロック・ホームズ 絹の家』に関する拙ブログ記事はこちら。)
私は未読ですが、イアン・フレミング財団が公式認定したジェームズ・ボンドシリーズの新作『007 逆襲のトリガー』や"Forever and a Day"も書いており、こちらも完成度が高いようです。
Kindle版: 007 逆襲のトリガー (角川書店単行本)
Apple Books版:007 逆襲のトリガー - アンソニー・ホロヴィッツ & 駒月雅子
脚本家としてのアンソニー・ホロヴィッツ
名探偵ポワロ
Amazonビデオで好評レンタル・販売中
AXNミステリーやシネフィルWOWOWでも好評放送中
私がアンソニー・ホロヴィッツという名前を初めて知ったのは、このデヴィッド・スーシェさんがエルキュール・ポワロを演じた「名探偵ポワロ」の脚本家として。
(余談ながら、「名探偵ポワロ」Blu-ray BOX3以降はまだ販売されないのかなぁ。)
一応、彼が手がけた脚本を以下に記します。彼の脚本作品は、上のBlu-ray BOX1,2で全部見られます。
短編:『100万ドル債券盗難事件』,『二重の手がかり』,『スペイン櫃の秘密』,『盗まれたロイヤル・ルビー』(クライブ・エクストンとの共作),『黄色いアイリス』,『死人の鏡』,『グランド・メトロポリタンの宝石盗難事件』
長編:『ヒッコリー・ロードの殺人』,『ゴルフ場殺人事件』,『エッジウェア卿の死』,『白昼の悪魔』
バーナビー警部
現在、AXNミステリーでリマスター版が放送されている「バーナビー警部」(原題:Midsomer Murders)の初期シリーズについても、ホロヴィッツが脚本を書いています。その作品は以下の通り。
お恥ずかしながら、私は「バーナビー警部」を見たことがなかったので、この機会に見てみようと思います。
第1話
刑事フォイル
そして、私も好きな「刑事フォイル」(原題:Foyle's War)では、その制作から携わる筆頭脚本家でもあります。
(余談ながら、NHKは残りの作品を吹き替え放送して、DVD-BOX3以降も(以下略))
Amazonビデオ:第1話『ドイツ人の女』〜第14話『生物兵器』までレンタル中。
「刑事フォイル」は第二次世界大戦下で警視正を務めるフォイルの渋い魅力もあって、なかなか見応えがありますが、結構トリッキーな謎解き要素もあって、それも面白い作品です。
ニュー・ブラッド 新米捜査官の事件ファイル
昨年AXNミステリーで放送された本作は、現在のイギリスが舞台。
新米刑事のアラッシュはイラン出身の両親から生まれた英国育ちで、新米捜査官ステファンはポーランド出身の英国第1世代ですが、そんな彼らがひょんなことから相棒を組むことになります。
英国社会が抱える社会問題も描かれ、まずまず面白かったです。
この放送に併せてホロヴィッツに電話でインタビューした下の記事もご参考まで。
さて、ここまでお読みになった方で『カササギ殺人事件』を読了された方なら、いろいろ{にんまり(・∀・)}されたところもあるのではないでしょうか。
前置きが長くなりましたが、いよいよ『カササギ殺人事件』について触れたいと思います。