反転、再び。
霊媒探偵:城塚翡翠が活躍する人気シリーズ第3弾『invert Ⅱ 覗き窓の死角』を読みました#59011;
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まず始めに。
本作では、
シリーズ第一作『medium 霊媒探偵城塚翡翠』の結末に触れています。まだ
こちらを読んでいない方は回れ右して、
[メディウム]から読まれることをお薦めします(・・)(。。)
(文庫化されています。)
オーディオブックもあります。
また、[メディウム]は清原果耶さん主演でドラマ化されますね。(後述)
それでは、[インヴァート2]。
なお、
invertという単語の意味については、拙ブログの
こちらの記事をご参照ください。
[インヴァート2]には倒叙ミステリの中編2編(うち表題作は長編に近い長さの中編)が収められています。
「聖者の言伝(ことづて)」
嵐の夜、友人の山荘に不法侵入した男子中学生が、殺人事件を…。
コミカルな作品ですけれど、これはあざとい#59138;(褒め言葉ですw)
どんでん返しはありますが、ちょっとロジックが弱いかな・・・。
「覗き窓(ファインダー)の死角」
妹の自殺の原因となった人物へ復讐すべく、女性写真家は殺人を犯す。そして、彼女は城塚翡翠をアリバイ証人に仕立て上げる…。
[メディウム]では、最初の方で「わたし、推理小説は苦手なんです」と言っていた翡翠ですが、本作では冒頭から、ある人物がきっかけでホームズが気になり、それから、紆余曲折あって、日本の本格ミステリが好きになった、と述べています。
友人として親しくなった相手に話したことですから、こちらが本当の城塚翡翠なのでしょう。
そんな「友人」が翡翠をアリバイ証人に仕立て上げたことで、彼女は友人の写真家と対決することになります…。
こちらは王道の倒叙ミステリ。
ここで用いられたアリバイトリックは私、知ってはいましたが、見抜けませんでした#59142;
写真家の犯行が、翡翠をアリバイ証人に仕立て上げたことで崩れていく「論理のアクロバット」が読みどころの一つです。
また、本作のカバージャケットに描かれた遠田志帆さんのイラストは、相変わらず美しいですが、そこに描かれた翡翠の目には涙が浮かんでいるように見えます。
今までの作品では描かれてこなかった、翡翠の別の一面が垣間見られるのも、本作の読みどころの一つです。
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さて、前述のように『medium 霊媒探偵城塚翡翠』は連続ドラマ化されます。
翡翠を演じるのは、清原果耶さん。
なかなか難しい役どころですが、清原さんの演技力なら素敵な翡翠になるのではないでしょうか。
また、アシスタントの「真ちゃん」千和崎真を演じるのは小芝風花さん、翡翠と協力する推理作家の香月史郎は瀬戸康史さん、警視庁捜査一課の警部・鐘場は及川光博さんが演じられるということで、楽しみo(^-^)o
そして、「小説現代」の2022年10月号は
「城塚翡翠」特集。
表紙を飾る
清原果耶さんのインタビューの他、オーディオブックで翡翠を演じられた
古賀葵さんと原作者の相沢沙呼さんとの対談、
『十角館の殺人』の素晴らしいコミカライズ (アフタヌーンコミックス) も記憶に新しい、
淸原紘さんによる『medium』コミカライズ先行掲載、など充実の一冊。
城塚翡翠シリーズ最新作である短編
「春の佩帯(はいたい)」も収録されています。
屋上から身を投げようとした少女。それを阻止するべく駆けつけた少年が目にしたのは、予想外の光景だった。少年は白井奈々子と共に、消えた犯人と凶器の行方を探る——。
本作は倒叙ではなく、犯人と凶器の謎については、ちょっとミステリに精通している方ならすぐ分かるとは思いますが、ある「意外な真相」が明かされます。
相変わらず、遠田志帆さんによるイラストも美しいので、必読です#59140;