I Love Fidelity Dove#59116;

もう1回書いておきましたw
2012年1月24日、日本時間で18時現在。
"I Love Fidelity Dove"と引用符付で検索しても、GoogleYahoo! JapanBing、ついでにYahoo! (USA)では引っかかってきません。
ですから、少なくともネットの世界では、私がこの表現を最も早く発した栄誉#59130;を賜るかと(^^ゞ
もちろん、LoveDoveは韻を踏んでおり…(#^.^#)

最初にお断りしますと。
このブログ記事は、
「ロイ・ヴィカーズの連作短編集『フィデリティ・ダヴの大仕事』の感想」
というより、
「一夜にしてミス・フィデリティ・ダヴに魅せられ#59117;、虜となった男の戯言」
なので、あまり気にしないで下さいσ(^◇^;)

あっ、肝心な本の紹介がまだでしたね(σ・∀・)σ!!

フィデリティ・ダヴの大仕事

  • 作者: ロイ・ヴィカーズ
  • 出版社/メーカー: 国書刊行会
  • 発売日: 2011/12/26
  • メディア: 単行本
The Exploits of Fidelity Dove

正直な話。
この本を読むまでは、あまり期待していませんでした(・。・)

まず、義賊物というのは、自分の読書範疇から少し外れる#59011;
義賊物と言えばアルセーヌ・ルパンが有名で、古典で言えば、コナン・ドイルの義弟であるE・W・ホーナングが記した「ラッフルズ」シリーズ(二人で泥棒を―ラッフルズとバニー (論創海外ミステリ)他)などがありますが、そんなに興味はない。

更に、「淑女怪盗」である。
いまいちイメージが沸かなかった、というか(´ε`;)
それこそ、
「モ●ゲーの『怪盗ロ●イ●ル』みたいな感じ?」
くらいなイメージ(;・∀・)

そもそも、この本を購入したのも、
「楽天の期間限定ポイント#59094;が余るなぁ(・_・) →じゃあ、『フェリシティ・ダヴ』だか『フィデリティ・ガヴ』だかを読んでみるか(・・)(。。)」
という不純な動機でして#59142;
(ということで、一番下に楽天ブックスへのリンクも記しておこう(._.)φ)
で、届いた本のオビには、
何でも盗んでさしあげますわ
とある。
・・・ちょっと、、、なんというか…と思ったりしたのですが。。。
(なお、私の読んだ限りでは、この台詞は本文中にはない。)


読了。

いや、もう#59138;
「フィデリティ様に忠節を誓います(o_ _)o」
という感じですよ(^0^;)
なお、本文中には「フィデリティ様」という表現もないのですが#59142;
これから、私はミス・フィデリティ・ダヴのことを、「フィデリティ様」と記しますので、あしからずw

そもそも、フィデリティ(fidelity)を検索しても、人の名前としてではなく、証券会社の名前とかそういうのが多く引っかかってくる。
手元のオックスフォード現代英英辞典(第4版)で調べると、
  • (a) loyalty; faithfulness
  • (b) accuracy; truthfulness
とあり、「忠実、忠誠、貞節」といった意味がある単語です。
そして、ダヴ(dove)は「(平和のシンボルとして使われる方の)鳩」。
だから、「フィデリティ・ダヴ」という名前は本名でない可能性が非常に高いのと同時に、この名前はフィデリティ様の特徴をよく表現していることは、本書を読まれた方ならよく分かると思います。

それでは、フィデリティ様の容姿を見てみることにしましょう。
最も目を惹くのは、全身灰色(グレイ)ずくめの修道女っぽい姿
この本のジャケットは、やや黒っぽく後ろ姿が描かれていますが、黒でもない白でもない灰色な姿なのでしょう。
でも、よくよくその姿を注視すると、その灰色の姿は非常に手の込んだ、高級さを感じられる代物であり、フィデリティ様をよくよく眺めた女の子の依頼者(とは、ちょっと違うけれど)が、
「お姉様」→「マダム」→「お嬢様」
と呼び直すくらいである。
(そうでないと、ゲゲゲの鬼太郎の「ねずみ男」になってしまう(__;))

彼女の髪は明るいブロンド
長い黄金のまつげで、瞳はすみれ色
そして、銀の鈴の音のような声
その言動は清教徒(ピューリタン)的
だから、よく#59130;天使#59130;のようだと言われています。
年齢は21歳前後。
本書で、標的(ターゲット)が「彼女はもう二十一歳の成人だったぞ」と話す場面がありますが、別のところで、彼女の一味は「誰もフィデリティの年齢は知らな」いとある(ただし、「みな彼女の誕生日は知っていた」#59014;)ので、前者は偽証だと思われるが、その前後の年齢と思われる。
実際、「十八歳の清教徒の乙女」のように見えることもある。

小説がマンガ&アニメと異なる点は、それらの文章表現から得られる情報を、自らの「理想像」に合わせ、昇華できる点。
だから、既に私の頭の中ではフィデリティ様は神格化されています(笑´∀`)

彼女、というか <フィデリティとその一味(ダヴ・ギャング)>は盗賊ではありますが、例えば、ルパン三世でよくあるように「厳重警備体制の中、お宝を盗み出す」タイプの盗みは少ないです。
最初の1話を除いては、既に彼女の素性は警察に知られています。
住所も知られています。
この連作短編集の面白いところは、
「この犯罪は彼女らが行ったのは間違いないのだが、それを立証するための証拠がない、あるいは(当時の英国の)法律では正当な手続きに基づいて行われているため、彼女を逮捕できない。」
という、法の目をかいくぐって詐欺を働くフィデリティ様の痛快さにあります。

彼女は基本的には「義賊」であり、大抵は悪徳大金持ちの財産や名誉などを破産寸前にまで追い込み、その追い込みを止める見返りに、その大金持ちの全財産の約1割を搾取する、という犯罪スタイルをとっています。
(例外もありますが。)
目的のためには、割と手段を選びません。
それは暴力的な意味ではなく、
「どう見ても、これって価値があるでしょう(゜゜;)」
というのをぶっ壊してまで、それ以上の利潤#59053;を追求します。

そして、彼女の部下たちもそれぞれキャラが立っていて、面白い(*^_^*)
いちばんよく登場する元俳優のカスバート・ゴースは、フィデリティ様に心酔する手下の中で唯一、フィデリティ様の清教徒的な超然とした態度を受け入れることができず、彼女は義賊でも何でもなく根っからのペテン師、とみなしている人。
ただし、彼はフィデリティ様の<美>を愛でる特権のために、すべてを捨てた人なので、もちろん、フィデリティ様のためだったら、命の危険も惜しまず行動します#59119;

一方、それと対照的なのが科学者のアップルビー
彼は、フィデリティ様のあふれるような愛らしさを、なるべく目にしないようにする(自分にはあまりにも眩しすぎて#59130;、直視できない感じ?)ほど心酔しており、時折、彼女のことを「プリンセス」と呼んだりします#59116;

彼女の一味ではありませんが、彼女の顧問弁護士であるサー・フランク・ロートンは、その立場上、彼女とは少し、というか、かなり距離を置いており、彼女がどういう人物なのか大体は分かっていると思いますが、その点についてはお互いに干渉することなく黙認する間柄。

そして、忘れてはならないのが、彼女らに振り回されるスコットランド・ヤードのレーソン警部補
最初から最後まで、かわいそう(;´∀`)


この連作短編集は、とても面白いことを保証します#59138;
もっとも、私の保証が当てにならないようでしたら(x_x)、例えば、私立本格推理小説「風読人:ふーだにっと」ホームページの「フィデリティ・ダヴの大仕事」のページをご確認下さいませ。
(こちらのページで★4つの評価は、かなり面白いということですよ#59028;)
もちろん、「クラシック」(1924年に刊行)なので今となってはどうってことのないトリックもありますが、トリック云々ではなく、この連作短編集は面白いです(o´∀`o)
(さっきから、「連作」「連作」を強調していますが、続けて読むからこその面白さもあります。)

この連作短編集の唯一の欠点は、
たった12編しかないこと。
…でも、それは欠点ではなく長所にもなりますかね。
フィデリティ様の生い立ちやら、何故このような有能な部下を得ることができたかについては、ほとんど触れられていないこともあり、そこは自分の頭の中で、サイド・ストーリーやらスピンオフやらを空想するのです(_ _)

長くなってきたので、以下は各短編の概要、感想等をサラサラと。