アンソニー・ホロヴィッツが贈る『その裁きは死』(拙ブログでも紹介)に続く、〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉シリーズの第3弾。




殺しへのライン ホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズ (創元推理文庫)



  • 出版社/メーカー: 東京創元社

  • 発売日: 2022/09/12

  • メディア: Kindle版







今回の舞台は、シリーズ第1弾『メインテーマは殺人』の刊行まであと3カ月、本のプロモーションとして文芸フェスに参加するため、探偵ダニエル・ホーソーンとわたし、アンソニー・ホロヴィッツが、チャンネル諸島のオルダニー島を訪れます。

アガサ・クリスティーの中後期作品を彷彿とさせるような感じで、事件発生までの人間模様が詳細に描かれ、フェス関係者の間に不穏な雰囲気が漂うなか、そのうちのひとりが死体で発見されます。
しかも、その被害者は椅子に手足をテープで固定されていたのですが、なぜか「右手だけは拘束されずに自由になっていた」のでした…。

この謎の真相については、コナン・ドイルのシャーロック・ホームズ物語の「あの作品」を想起させます
(クリスティーばかりでなくホームズ物語にも造詣の深い、作家ホロヴィッツさんのことだから、たぶん「あの作品」を意識されて書かれたものと推測しますが…。)

犯人については、(後から考えれば)分かりやすいと言えば分かりやすいですが、私が犯人候補の一人に挙げていたある人物が、最終章で完全否定されていて、思わず苦笑い(笑´∀`)
物語のわたし、ホロヴィッツはホーソーンに翻弄されていますが、読者の私は作家ホロヴィッツさんの手のひらで踊らされていました#59142;

前作でも(確か)少し触れられていた、ホーソーンと因縁のある人物が登場したりして、ホーソーンにまつわる「謎」についても興味深い一冊
シリーズ最新作"The Twist of a Knife"が2023年に刊行予定ということで、こちらも楽しみです。


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