ポジオリ教授の冒険 [Mystery]
あのポジオリ教授が帰ってきましたヽ(^。^)丿
(「講師」だったり「博士」だったりすることもありますが、ここでは基本的に「教授」で。)
ポジオリ教授の冒険 (KAWADE MYSTERY) (KAWADE MYSTERY)
- 作者: T S ストリブリング
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2008/11/07
- メディア: 単行本
ポジオリ教授はこのブログでも以前紹介したことがありますが、この短編集は、文庫本で容易に入手可能な
「カリブ諸島の手がかり」
(第1期)と絶版のため古書の値段が今や定価の10倍に高騰している
「ポジオリ教授の事件簿」
(第3期)の間にある幻の「第2期」の作品集です。
やっぱり、ほぼ発表順に作品は読みたいですからね〜。
「〜の事件簿」
を読まずにとっておいた甲斐がありました(って、ただ積んどいただけだろヾ(・∀・;)オイオイ)
・・・ということで、約8年ぶりにポジオリ教授の探偵譚を読みましたが、やっぱり面白くて一気に読んでしまいました。
犯罪心理学者であるポジオリ教授は、この時代(第2次世界大戦前)の人物にしては文化や人種の多様性を許容している好人物。
ただし、聖人というわけでもなく、捜査の最中でのマスコミ攻勢に嫌悪しながらも、一方では全米の注目を浴びることにより「ひと財産手に入れる機会を棒に振ってしまった」ということを悔やんだりもするように、俗っぽいところも備えているのもますます好感が持てます(*^_^*)
本当は自分の研究に没頭したいのに、周りから持ち込まれる「事件」についつい引きずり込まれる、ポジオリ教授の今回の活躍は如何に
以下、ネタバレなしで各作品の感想を。
●パンパタールの真珠 A Pearl at Pampatar (1929)
カリブ海に浮かぶマルガリータ島を訪れたポジオリ教授。
島名が「真珠」を意味するこの島で起こった真珠盗難事件に手を貸したのだが・・・。
リドル・ストーリーぽい感じの短編ですが、この短編集の中ではイマイチ面白くなかったです。
●つきまとう影 Shadowed (1930)
オハイオ州立大学の心理学講師であったポジオリが、その職を追われた顛末を描いた中編。
窓のある部屋を異様に恐れるモーダックという男がポジオリの元を訪れる。
ラプレス教授なる天才的な舞台魔術師に命を狙われていると訴え、ポジオリに助けを求めるのだが!
描かれているのは超自然的な怪事件であり、それに対してポジオリが「神の存在の可能性を仮説として取り上げた」ために、教育界に衝撃が走り、ポジオリが学会失脚に至った、と、本編の序文に書かれています。
ミステリとしては異色なわけで、結論も単純といえば単純なのですが、とても面白くて一気に読みました。
本短編集の中で、Yuseumが最も好きな作品の一つです。
●チン・リーの復活 The Resurrection of Chin Lee (1932)
フロリダの製剤所を訪れたポジオリ教授は、そこの所長ギャロウェイが、
「東洋人の顔は見分けがつかない。」
と話すのを興味深く聞いていたのだが・・・。
この作品、タイトルは以前から知っていたのですが、てっきり、
「チン・リーというポジオリ教授最大のライバルが復活して、再びポジオリとの頭脳戦を演じる」
作品とばかり思っていましたf(^ー^;
(おそらく、シャーロック・ホームズの影響だw)
ホームズというよりブラウン神父的な作品です。
●銃弾 Bullets (1932)
フロリダの田舎町の雑貨店で勃発した牧場主射殺事件で、黒人の牧童が容疑者となる。
その母親の依頼でポジオリ教授は検死審問に乗り込む!
社会的偏見のため窮地に立たされたマイノリティーに救いの手をさしのべるポジオリ教授がいいですね(^^)
真相は意外ではありますが、解説にもあるように少々アンフェアf^_^;
●海外電報 The Cablegram (1932)
税関検査官のスライデンベリーから、不可解な海外電報を受け取ったという連絡を受けたポジオリ教授は、その電報に興味を抱いて港へ向かうことにする。。。
「カリブ諸島の手がかり」のある短編に出てくる人物が再登場する作品です。
その人物とポジオリ&スライデンベリーとの駆け引きが見どころです。
●ピンクの柱廊 The Pink Colonnade (1933)
マイアミ随一の実業家ながら、大恐慌のせいで今ではガソリン代にも事欠くマデロウ氏。
彼が助けを求めている「夢」を見たという娘。
ランバートと名乗る人物から助力を求められたポジオリ教授は、スピードボートで失踪してしまったマデロウ氏の邸宅に向かう。。。
不思議な展開をする、なかなか面白い物語ですが、事件の真相は最後の最後に明かされます。
先述の『海外電報』もそうですが、ポジオリ教授物は結構<最後の一撃>finishing Strokeが多いですね。
●プライベート・ジャングル Private Jungle (1933)
フロリダ州タンパからキーウェストに向かう列車で、ハネムーン帰りの若夫婦と乗り合わせたポジオリ教授は、夫の祖父に関する噂に悩む新妻の頼みで、夫妻の屋敷に同行することに・・・。
ちょっとイマイチかなぁ。
●尾行 The Shadow (1934)
ニューヨークで、何者かに尾行されているという神経過敏な銀行員サミュエルズから相談を受けたポジオリ教授。
尾行する者を突き止めようと、2人は待ち構えるが・・・!?
全篇がポジオリ教授と銀行員の会話のみで進行するので、そのテンポの速さについて行くのに手こずりました(汗)
でも、傑作と呼ばれているだけあって、まずまず面白かったです。
この作品にも<最後の一撃>が待ち構えていますよ♪
●新聞 The Newspaper (1935)
先述の『海外電報』の続きです。
思いっきり『海外電報』のネタバレが書かれているので、まず最初にそちらを読みましょう(・・)(。。)
近年になって本作品が発掘された、とのこと。
タイトルの『新聞』が何を意味するのか考えながら読んでいたので、少々拍子抜けしました( ^.^)( -.-)( _ _)
解説にも書かれていますが、ポジオリ&スライデンベリーとともに行動する、探偵志願のタクシー運転手が微笑ましいです。
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全然知らなかった作品ですが、
Yuseumさんの解説がわかりやすくて、
すごく読みたくなってしまいました~!
まずは「カリブ諸島の手がかり」から読むことにします♪
ご紹介ありがとうございました(^.^)
by チヨロギ (2008-11-12 22:20)
チヨロギさん、「カリブ諸島の手がかり」はなかなかいいですよ〜[はーと]
単に推理するだけではなくて、楽しみながらもいろいろ考えさせられる作品集です(^_^)v
by Yuseum (2008-11-13 06:21)
Yuseumさん、こんばんは♪
「カリブ諸島の手がかり」、おもしろかったです!
で、記事にリンクを貼らせていただいたので、
TBを送信したのですが、「失敗」で送れませんでした・・・。
今度はぜひ「ポジオリ教授の冒険」を読みたいと思いますv
by チヨロギ (2008-12-09 23:48)
チヨロギさん、TBに失敗しましたか!?
最近、禁止WORDをギリギリの部分で登録しているからかなぁw
by Yuseum (2008-12-10 21:32)