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NHK大河ドラマ『新選組!』のココがすごい!(2019年1月補筆改訂版) [新選組!]

お知らせ
このブログ記事は、2018年11月14日に私のメインブログ「レストカフェ-ゆーじあむ」に掲載した記事をこちらのブログへ移し、補筆改訂したものです。

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忘れはせぬ 熱き思い
誠の名に集いし遠い日を

≪「新選組!」メイン・テーマ≫ より抜粋
作詞:三谷幸喜/作曲:服部隆之


[ふらふら]Yahoo!ジオシティーズ サービス終了のお知らせ


ということで、私も(最近全く更新していませんでしたが)Yahoo!ジオシティーズにホームページを持っていたので整理をし、以下のページだけこのブログにて公開しておくことにしました。
→諸事情で、別のブログに以下のように二部構成で移行しました。


NHK大河ドラマ『新選組!』ファンに100の質問(その1)


NHK大河ドラマ『新選組!』ファンに100の質問(その2)


作業をしているうちに、当時の、そして今も続く「熱き思い」を書き綴りたくなったので、下に記します。
「スゴかった」ではありません。「スゴい」のです!


『新選組!』は、「視聴熱」の高い作品であった!


脚本は三谷幸喜さん


2004年のNHK大河ドラマ『新選組!』。
脚本は三谷幸喜さん。
三谷さんは数年前にNHK大河ドラマ『真田丸』の脚本も書かれていますが、この『新選組!』が初めて執筆された大河ドラマの脚本でした。
主演の近藤勇に香取慎吾さん。
土方歳三に山本耕史さん、沖田総司に藤原竜也さん、斉藤一にオダギリジョーさん…と、それまでに描かれていた「新選組」のドラマに比べて、当時の若い俳優さんが新選組の隊士を演じ、多数の斬新な試みがあった本作品


番組のOPに「大河ドラマ」と表記された最初の作品


NHK大河ドラマは50年以上も続いている歴史のあるドラマ枠ですが、実は「大河ドラマ」という呼称はNHKが名付けたものではありません
(NHK総合のバラエティー番組「ネーミングバラエティー 日本人のおなまえっ!」(2019年1月17日放送)より。)
そして、番組のオープニングタイトル「大河ドラマ」という表記が初めて採用されたのが、実は『新選組!』からだとも紹介されていました。(大河ドラマ第1作から数えること、実に41年目!
今ではOPでの「大河ドラマ」表記は当然のようになされていますが、その歴史が『新選組!』から始まったと考えると感慨深いですね!


視聴率では苦戦した


残念ながら、視聴率は初回をピークにして徐々に下がり、平均視聴率は17.4%と大河ドラマの中では下から数えた方が速く、数字という点では苦戦しました。
これは、例えば第1回「黒船が来た」で、
「近藤勇と土方歳三は、黒船が来航した若い頃に坂本龍馬と知り合いだった」
というシーンが描かれたのですが、これが「史実に忠実ではなく荒唐無稽。」などと叩かれたりしたことが原因として考えられます。


しかしながら、


  • 近藤勇と土方歳三が、若い頃に坂本龍馬と知り合いだったという確たる記録はもちろんない。
  • しかしながら、それを否定する証拠もない。
  • 当時の彼らは比較的近所に住んでいたことが知られている。
    →ひょっとしたら、彼らは若い頃に出会っていたかもしれない。(想像)

この「想像」を膨らませて歴史を描くのが三谷幸喜さんの脚本の醍醐味であることは、『真田丸』をご覧になった方はお分かりになるかと思います。


一方で、近藤らが新選組を組織したのが20代、処刑されたのが30代半ばということで、実はリアルな年齢の俳優さんが演じられていたことからも分かるように、三谷さんの脚本は細かいところにおいては史実に忠実です。
もし、学説がいくつかあったならば、それらを組み合わせてエンターテインメントな脚本を書くのが三谷さんです。(例えば、第42回「龍馬暗殺」。)


『新選組!』の「神回」


そんな『新選組!』の中でも、特に「神回」と言われるのが第33回「友の死」
新選組総長である山南敬助の最期を描いた、涙なしでは見られない回で、山南敬助を演じた堺雅人さんはこの『新選組!』でブレイクしたと言っても過言ではありません。
この「友の死」は、通常6回の放送(NHK総合、BS2、BShiでの本放送と再放送)に加えて、年末の「あなたのアンコール2004」というリクエスト番組などでも放送されたため、2004年の間にNHKで計8回放送されたのですが、私はその全てを視聴しました!


そうかと思えば、続く第34回「寺田屋大騒動」はその不穏なタイトルからは想像もできなかった展開が待ち構えており(笑)、まさに笑いあり、涙ありの作品でした。


若い世代を呼び込んだ大河ドラマ


そんな『新選組!』は、今までに大河ドラマを観たことがなかった若い世代を中心に盛り上がりをみせました。


今で言う「視聴熱」が高かった作品です。


当時はSNSが存在せず、ブログの黎明期であり、インターネットの中心は個人が作成したウェブサイト(ホームページ)でした。
「ウェブリング」と呼ばれる、似たようなテーマを持ったウェブサイトをつなぎあわせるリンクシステムが流行ったのもこの頃で、上に挙げた「NHK大河ドラマ『新選組!』ファンに100の質問(誠百質)」もウェブリングであり、「誠百質」の質問に答えている他のウェブサイトに簡単にたどり着けるようにしたものでした。(ウェブリング・サービスが終了しているので、今はリンクを削除しています。)


『新選組!』が盛り上がりをみせた証拠は、これだけ?
 いえ、それがあるのです!


『新選組!』は、大河ドラマ史上最高のDVD-BOX売り上げを記録!


こちらのニュース記事に、NHK大河ドラマ『龍馬伝』のBlu-ray BOXの初動売り上げ記録が記されていますが、それ(BD:1.2億円+DVD:1.3億円=合計2.5億円)を上回る初動売り上げを記録したのが、『新選組!』のDVD-BOX(初動売上額:2.7億円)です。
最終的に、大河ドラマ史上最高32,000ボックス、8億円を売り上げたとのこと。
(「洋泉社MOOK 大河ドラマ読本 21世紀のNHK大河ドラマを大特集!」より)


今では大河ドラマの完全版DVD-BOXやBlu-ray BOXが発売されるのは当たり前のようですが、『新選組!』以前は、大河ドラマ総集編(スペシャル)のビデオやDVDが発売されることはあっても、完全版のDVD-BOXが発売されるのは稀なことでした。
[ひらめき]この流れを変えたのが『新選組!』です。
「『新選組!』の完全版DVD-BOXを発売してほしい!」という視聴者からの熱い要望がムーヴメントとなり、それが放送終了直後のDVD-BOX発売につながったのです!



新選組 ! 完全版 第壱集 DVD-BOX

新選組 ! 完全版 第壱集 DVD-BOX

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • メディア: DVD



新選組 ! 完全版 第弐集 DVD-BOX

新選組 ! 完全版 第弐集 DVD-BOX

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • メディア: DVD

今では廉価版DVD-BOXも発売されています。(後述)

『新選組!』は、大河ドラマ初の「続編」が作られた!!


『新選組!』は近藤勇の最期で終わったため、その後の新選組が描かれませんでした。
これも視聴者からの多くの要望があって、大河ドラマとしては初めて、そして今のところ唯一の「続編」が制作されました。
それが2006年1月に放送された『新選組!! 土方歳三 最期の一日』です。


土方歳三は山本耕史さん、そして、箱館政府総裁の榎本武揚に片岡愛之助さん。
この俳優さんの組み合わせ…
後の『真田丸』における、治部(石田三成)と刑部(大谷吉継)ですね!!
この2人に、陸軍奉行の大鳥圭介(吹越満さん)を加えた3人の会話を中心とした密室劇は、まさに三谷さんの真骨頂です。



山本耕史主演 大河ドラマ 新選組!! 土方歳三最期の一日【NHKスクエア限定商品】

山本耕史主演 大河ドラマ 新選組!! 土方歳三最期の一日【NHKスクエア限定商品】

  • 出版社/メーカー: NHKエンタープライズ
  • 発売日: 2014
  • メディア: DVD


ところで、今年(2019年)は土方歳三没後150年ということですが、土方歳三の生家がある東京都日野市の「広報ひの」平成31年1月15日号では別冊で「土方歳三 人気の理由」が特集されています。
そして、山本耕史さんのインタビューが掲載されているのも良いですね!!
広報ひの|日野市公式ホームページより、PDFやテキストで読むことができます。


[NEW]広報ひの 平成31年1月15日号(別冊特集はページ中頃より。)

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「構想15年」は伊達ではない!ー『カササギ殺人事件(下)』(2019年1月補筆改訂版) [Mystery]

お知らせ
このブログ記事は、2018年10月19日に私のメインブログ「レストカフェ-ゆーじあむ」に掲載した記事をこちらのブログへ移し、補筆改訂したものです。
本書並びに参考図書のネタバレに直結する部分は、2018年11月27日に削除しました。


構想15年、ミステリ界のトップ・ランナーによる圧倒的な傑作登場!
(下巻オビより抜粋)


近年これほど「ここは原文では一体どうなっているのかを確認したい」と思ったミステリも珍しい。—— 千街晶之氏
いや、すでに評判なので、これ以上、語るまでもないでしょう。—— 吉野仁氏
二面性があって、かつ、最後で壮麗にまとまってくれるミステリ、待ってました。—— 酒井貞道氏

書評七福神の九月度ベスト!翻訳ミステリー大賞シンジケート


注意ポイント
このブログ記事では、皆さんが、
アンソニー・ホロヴィッツ『カササギ殺人事件』Magpie Murders
上巻を既に読んでいるという前提で書いています。(上巻のネタバレはしていませんが、下巻の登場人物について少し触れています。)
まだ、本書を読んでいないけれどこの作品に興味のある方は、拙ブログ記事
【ネタバレなし】この本はあなたの人生を変える? ー『カササギ殺人事件(上)』
に、作者アンソニー・ホロヴィッツに関することや上巻のあらましを記していますので、そちらもご参照ください。


ゲームデザイナーの小島秀夫氏もTwitter
「全てのクリスティファン、本格推理ファンは読むべし!ミステリー好きで良かった思わせてくれる究極の逸品!」
と大絶賛で、日本語&英語の両方でツイートされており、それに対して作者のホロヴィッツさんが感謝のリプライ。


だから、「本書を未読の方は(こんなブログを読む前に)とにかく読んでみてください。」という結論…ではありますが、それでは(私的に)味気ないので蛇足ながら、このブログ記事ではトリビア付きの私の感想(ネタバレは基本的に含みません)を補足しようと思います。
(なお、このブログ記事で「本書」、「上巻」、「下巻」と記した場合は、アンソニー・ホロヴィッツ作『カササギ殺人事件』のことを指し、単に『カササギ殺人事件』と書いた場合は、作中作(ないしは小説内小説)のアラン・コンウェイ作『カササギ殺人事件』を指します。)


カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)

カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)

  • 作者: アンソニー・ホロヴィッツ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/09/28
  • メディア: 文庫
カササギ殺人事件〈下〉 (創元推理文庫)

カササギ殺人事件〈下〉 (創元推理文庫)

  • 作者: アンソニー・ホロヴィッツ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/09/28
  • メディア: 文庫

カササギ殺人事件(下)のトリビア付き感想


その前にもう1つだけ


上巻の最後が衝撃的な一文で終わり、さて下巻。
「登場人物」一覧、本扉の後、


こんなに腹立たしいことってある?


の一文で始まるのですが、ここに至ってようやく上巻の冒頭に出てきた「わたし」が≪クローヴァーリーフ・ブックス≫文芸部門の編集者であるスーザン・ライランドということが分かります。


スーザンがミステリ作家としてのアラン・コンウェイを見出した成り行きを語るシーンがあるのですが、そこでのスーザンのこんな言葉、


わたしはアガサ・クリスティを読んで育ち、飛行機に乗るとき、あるいは海岸でくつろぐとき、何よりミステリを読みたいと思うたぐいの人間だ。テレビドラマの『名探偵ポワロ』や『バーナビー警部』も、見のがした回などひとつもない。(下巻P.37)


思い当たる方もたくさんいるのではないでしょうか。ミステリ好きにはワクワクしてきますね。


また、古き良き時代の英国ミステリだった上巻に比べて、下巻では「iPhone」や「iPad」、「(カー)ナビ」、「Eメール」なども登場し、話もより現代的になってテンポが良くなる一方、作者の遊び心が表れている章もあります。


注意ポイント(再)
これ以降は、本書のたくさんあるトリビアの中から六つのトリビアについて触れます。
ネタバレは基本的に避けたつもりですが、類推できるかもしれないので、未読の方はご注意ください。

(本書の核心に触れるネタバレは削除しました。)


『ねずみとり』の権利を祖母から譲られた「作家の孫」登場!


この本を読んでいた私にとって、下巻前半のハイライトはここでした。
会員制クラブ≪アイヴィー・クラブ (The Club at The Ivy)≫のウェイターに話を聞いたスーザンは、マシュー・プリチャードその人がその場にいたのを突き止めます!


…知る人ぞ知る、アガサ・クリスティのお孫さんです。実在の人物です。これまで、実在の人物の名前が出てくることはありましたが、まさかご本人が登場するとは思わず、ビックリしてしまいました。


マシュー・プリチャードさんは、クリスティ自身が立ち上げた自分の著作物を管理する「アガサ・クリスティ社(アガサ・クリスティ・リミテッド)」の理事長/会長も務めたことがあり、現在はお子さん(クリスティのひ孫)にその職を譲っているようですが、彼がビジネスの手腕を発揮していなければ、今日に至るまでクリスティの作品が世界中の人々に読まれ、映像化作品も数多く作られたりするようなことは(あるいは)なかったかも…と個人的には思っています。


本書によれば、≪アガサ・クリスティ・リミテッド≫の事務所は≪アイヴィー・クラブ≫から歩いてすぐ、(コヴェント・ガーデン地区の東の境界を成す)ドルリー・レーンにあります。
また、マシューさんが9歳の時に祖母から権利を譲られた戯曲『ねずみとり』が上演されたアンバサダー劇場(The Ambassadors Theatre)、そしてそれを引き継いだセント・マーティンズ劇場は、どちらも≪アイヴィー・クラブ(The Club at The Ivy)≫のある通りのちょっと先にあります。



本書のマシューさん曰く、


コンウェイの本には、祖母の本から借りたあれこれがちりばめてあったからな。人名。地名。まるで、ゲームをしているような気分になったよ。あのシリーズを読んでいると、そこらじゅうに見おぼえのあるあれこれが埋め込んであってね。(下巻P.134~P.135)


『カササギ殺人事件』については、その一部がこの後に記されています。それを読む前に、あらためて上巻を読み返すのも一興かもしれません。

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