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マウストラップ @六本木ブルーシアター [アガサ・クリスティー]

先日少しご案内したように、3/6〜3/17まで六本木ブルーシアターにてアガサ・クリスティー原作戯曲である「マウストラップ」が公演されています。
本国では世界最長の60年ロングランを続けているこの作品。
それを記念したプレミアム公演で、キャストは日本人俳優さんですが、演出は本場ロンドンウエストエンドの新進気鋭演出家ジェイスン・アーカリさんが挑んでいます。 

マウストラップ(ねずみとり)公式サイト ←音声が流れるので注意[音楽] 
原作・脚本/アガサ・クリスティー
演出/ジェイスン・アーカリ 翻訳/鳴海四郎

パンフレット(表紙)[右斜め下]

IMG_0404.JPG

 

原作はこちら[左斜め下](→Kindle版ねずみとり - Agatha Christie & 鳴海四郎
今なら60周年記念公演オビがついている模様。([シャープダイヤル]Amazonで買ったら記念オビ付きかどうかは保証しません。あしからず[exclamation]

ねずみとり (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

ねずみとり (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 作者: アガサ・クリスティー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2004/03/16
  • メディア: 文庫

 

「結末は誰にも話さないで下さい」
がキャッチフレーズのお芝居なので、ネタバレなし(多分)で以下w
 
先日も少し触れましたが、 Yuseumは今から15年前に本場ロンドンのセント・マーテインズ劇場にてこのお芝居を鑑賞したことがあります。
もちろん、その時は皆さん英語で会話していたので、当時は充分理解していたとは言いがたいですが[あせあせ(飛び散る汗)]
それでも、面白く鑑賞した記憶が残っています。
 
今回、お芝居を観るにあたり、再度原作を読み直してから鑑賞したのですが。
今回の舞台は15年前に鑑賞した時や原作を読んだ時とは違った印象を受けました。
もちろん、お話の筋は原作通りなのですが、演出手法が現代的なんですね。
プログラムにて、ジェイスン・アーカリさんが、
「今回の上演は、この少しばかり積もった埃を取り払い、特に日本のお客様のために、古典に新しい息吹を吹き込む」
と述べられていますが、まず、舞台美術について、
「戯曲の冒頭に事細かに描写されている典型的なアガサ・クリスティーの部屋という自然主義の要素を取り除く」
「ミニマリズム<単純化・簡略化によって芸術効果を上げる手法>と表現主義<内面の感情を作品に反映する手法>を用いた美術に、より重きを置く」
という立場を取られています。
そこで、
「階段」
「暖炉」
「中央のプロセニアムアーチ<舞台前面を囲む額縁状の枠>のようなフレンチドア」
という3つに、舞台美術の焦点を置いたとのこと。
なるほど。原作に描かれている写真付きの舞台配置図とは少し印象が異なります。
Yuseumが印象的に感じたのは「椅子」ですね。
これを効果的に用いた演出が行われているなぁ〜と、興味深く鑑賞しました。
そして、音響と照明を使って、よりサスペンスを高めているな〜と思いました。
 
だから、今回のマウストラップは結構現代的な演出がされているので、(しかし、それでもアガサ・クリスティーの世界は存在するのですが、)特に先に原作を読んだ方にとっては、もしかすると好き嫌いが出るかもしれませんね。
先月鑑賞した「名探偵ポワロ〜ブラックコーヒー」がクリスティーの世界を忠実に再現している印象を受けたのに比べれば、このマウストラップは最近流行り(?)の古典のリ・イマジネーションが感じられた作品でした。
 
この戯曲は、1947年に当時のメアリ王妃が誕生日[バースデー]のお祝いにアガサ・クリスティーの劇を希望されている、とのことで、クリスティーがBBCラジオドラマ"Three Blind Mice"の脚本を執筆したのが発端。
のちに『三匹の盲目のねずみ』として短編小説に直し、さらに1952年に戯曲化したのがマウストラップです。
 
『三匹の盲目のねずみ』は、日本では以下の文庫本↓に収録されています。(→Kindle版愛の探偵たち - Agatha Christie & 宇佐川晶子
愛の探偵たち (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

愛の探偵たち (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 作者: アガサ・クリスティー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2004/07/15
  • メディア: 文庫
こちらの短編は未読だったので、今回読んでみたのですが・・・。
大きく2点、戯曲版との相違がありました。
ネタバレにつながりそうなので、詳細は述べませんが、
  1. 戯曲版に登場する「ある人物」がこの短編には登場しない。
  2. 「ある人物」の設定が、少し短編と戯曲版では異なる。 
『三匹の盲目のねずみ』"Three Blind Mice"は、ご存じのようにマザー・グース(本家イギリスではnursery rhymes=幼児の押韻詩)より。
 
 三匹の盲のネズミが 駆けてきた
チュッチュのチュ
ばあさん怒って 包丁で
ネズミのしっぽを ちょん切った
盲のネズミ 逃げてく
チュチュッチュのチュ 
 
今回の舞台でも効果的に使われていたこの歌ですが、マザー・グースについてもパンフレットに簡単な説明がありました。

さて。
今回の公演で以下のようなチラシを貰いました。
IMG_0407.JPG
7月にジェイスン・アーカリさん演出第2弾があるようです。
クリスティーのラジオドラマ3本、
『フェイからの電話』
『黄色いアイリス』
『最後のディナー』
を舞台化されるようですが。。。
クリスティーのラジオ作品に関する資料は、映画、演劇、テレビに比べると少ないんですね。
『黄色いアイリス』は黄色いアイリス (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)黄色いアイリス - Agatha Christie & 中村妙子に収録されている『黄色いアイリス』だと思いますが。
(ただし、「映画で読むアガサ・クリスティー」(→Kindle版)によれば、ラジオドラマ版ではポアロが歌で犯人を指摘することはない、とのこと。)
『フェイからの電話』はおそらく、このWikipediaにある"Personal Call"だと思われますが。
 (同じく、「映画で〜」によれば、シタフォードの秘密 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)シタフォードの秘密 - Agatha Christie & 田村隆一のナラコット警視が再登場して殺人事件の謎を解く30分ラジオドラマ、とのこと。)
『最後のディナー』は???ですね σ(^◇^;) 
http://www.puremarry.com/ の近日発表を待ちましょう。 (→続報)

映画で読むアガサ・クリスティー (SCREEN新書)

映画で読むアガサ・クリスティー (SCREEN新書)

  • 作者: 北島 明弘
  • 出版社/メーカー: 近代映画社
  • 発売日: 2010/11
  • メディア: 新書

なお、有明教育芸術短期大学では「ジェイスン・アーカリから演劇を学ぶ。」というオープン・キャンパスが開催されるようですよ。 
 
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コメント 4

チヨロギ

こちらではご無沙汰です[にこっ]
おもしろそうな舞台ですね。日本語なら安心だし(笑)
それとブルーシアター、全然知りませんでした。
三越劇場なら行ったことあるんですが、
新しいトコにはどうも疎くて・・・[あせっ]
by チヨロギ (2013-03-12 21:49) 

Yuseum

チヨロギさん、(こちらでは)ご無沙汰です(^-^)
以前はブルーマンシアターと呼ばれてたそうです。坂の上にあって、上るのに少し苦労(笑)
by Yuseum (2013-03-13 16:31) 

aya_rui

原作との違いを探すというのも、一つの楽しみ方としてみられるのは面白いですね。
確かに原作を楽しみたいという方も居るでしょうが、どうせならば、舞台ならではの演出があった方が、二倍楽しめるという部分がありますしね。
納得出来ないと思ってしまうと厳しいでしょうが、Yuseumさんとしては、楽しめたのは良かったですね☆
by aya_rui (2013-03-14 14:35) 

Yuseum

aya_ruiさん、遅ればせながらコメントありがとです[わはっ]
今回は楽しめました〜[おんぷ]
by Yuseum (2013-04-27 19:38) 

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