※覚え書き※「名探偵ポワロ」で映像化されていない?!作品一覧 [アガサ・クリスティー]
デヴィッド・スーシェさんが「灰色の脳細胞」を持つエルキュール・ポワロを演じる「名探偵ポワロ」。
全70作をもって、アガサ・クリスティーのほぼ全ての原作を映像化した、と言われています。
ほぼ・・・?
それでは、ポワロさんが登場する原作で映像化されていないものがあるのでしょうか
それらを少しまとめてみました。
*戯曲*
・ブラック・コーヒー Black Coffee (Kindle版、 )
この作品は確かに映像化されていません。
舞台劇だから、TVや映画向きではないと判断されたのでしょうか?
この作品のあるトリックが某ポワロ作品と被るからでしょうか?
真相は分かりません(..;)
ただ、本国では2012年にデヴィッド・スーシェさんがこの作品を朗読したとのこと。
なお、ブラック・コーヒー (小説版) (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)(Kindle版、 )は、チャールズ・オズボーンにより小説化されたもの。
*短・中編*
・呪われた相続人 The Lemesurier Inheritance
教会で死んだ男(短編集) (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
- 作者: アガサ・クリスティー
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/11/11
- メディア: 文庫
「教会で死んだ男」(Kindle版、 )所収の短編。
ポワロ物の短編の中で、この作品がなぜか映像化されていないことは前々から言われていました。
映像化するには尺が短い短編ではありますが。。。
「名探偵ポワロ」制作スタッフも、この作品が映像化されていないことは気になっていたようで。。。
実は、『ヘラクレスの難業』にそのエッセンスが取り入れられています
日本語タイトルは『呪われた相続人』ですが、直訳すると『リムジュリア家の相続』 The Lemusurier Inheritance 。
つまり、『ヘラクレスの難業』の最初のシーンで若い娘ルシンダ・ル・ミュジュリエ(Lucinda Le Mesurier)が殺されますが、彼女のファミリー・ネームはこの作品から拝借したようです。
・マーケット・ベイジングの怪事件 The Market Basing Mystery
同じく「教会で死んだ男」所収の短編。
ただし、後年、この作品のプロットを膨らませた中編『厩舎街の殺人』 Murder in the Mews(「死人の鏡」(Kindle版 、 )所収)が書かれており、『ミューズ街の殺人』として映像化されています。
このような短編はいくつかあり、
・潜水艦の設計図 The Submarine Plans ;「教会で死んだ男」所収の短編
→『なぞの盗難事件』(原作は「死人の鏡」所収『謎の盗難事件』 The Incredible Theft)
・クリスマスの冒険 The Christmas Adventure ;「マン島の黄金」(Kindle版、 )所収の短編
→『盗まれたロイヤル・ルビー』(原作は「クリスマス・プディングの冒険」(Kindle版、 )所収『クリスマス・プディングの冒険』 The Adventure of the Christmas Pudding)
・バグダッドの大櫃の謎 The Mystery of the Baghdad Chest ;「黄色いアイリス」(Kindle版、 )あるいは「マン島の黄金」所収の短編
→『スペイン櫃の秘密』(原作は「クリスマス・プディングの冒険」所収『スペイン櫃の秘密』 The Mystery of the Spanish Chest)
・二度目のゴング The Second Gong ;「黄色いアイリス」所収の短編
→『死人の鏡』(原作は「死人の鏡」所収『死人の鏡』 Dead Man's Mirror)
・ポワロとレガッタ Poirot and the Regatta Mystery ;EQ94-5掲載
この短編はその後、ポワロ物ではなくパーカー・パイン物として書き改められました。
『レガッタ・デーの事件』 The Regatta Mystery(「黄色いアイリス」所収)です。
クリスティーの死後に発見された短・中編についても、
・グリーンショアの阿房宮 The Greenshore Folly ;ミステリマガジン 2014年 11月号掲載
→『死者のあやまち』 Dead Man's Folly(Kindle版、 )
なお、この中編はクリスティーの地元の教会のための基金用に書かれたのですが、作品が長くなって雑誌社に作品を売ることができなくなったため、プロットは長編の『死者のあやまち』に生かして、教会のためにはミス・マープル用の短編『グリーンショウ氏の阿房宮』The Greenshaw's Folly(「クリスマス・プディングの冒険」所収)を書いたという面白いいきさつがあります。
・犬のボール The Incident of the Dog's Ball ;アガサ・クリスティーの秘密ノート(下)所収
→『もの言えぬ証人』 Dumb Witness(Kindle版、 )
・ケルベロスの捕獲 The Capture of Cerberus ;アガサ・クリスティーの秘密ノート(上)所収
この短編はヴェラ・ロサコフ伯爵夫人と犬は登場するものの、「ヘラクレスの冒険」(Kindle版、 )の最後に収録されている同名短編とは背景もプロットも異なります。
「〜秘密ノート」に所収の短編の方が先に書かれたのですが、その政治的な色合いのために雑誌掲載が見送られたため、クリスティーが書き直したのが「ヘラクレスの冒険」のそれだと見られています。
*その他*
・モノグラム殺人事件 The Monogram Murders
ソフィー・ハナが書いた、クリスティー財団公認のポワロ物の続編です。
日本でも10月下旬に刊行。
『青列車の秘密』(Kindle版、 )と『邪悪の家』(『エンド・ハウスの怪事件』;Kindle版、 )の間に位置づけられる事件、とのことですが、果たしてこれが映像化される日が来るのでしょうか?
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