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黄昏時は謎解きの始まり;『木曜殺人クラブ』 [Mystery]

今年の始めに、東京創元社さんがあの『カササギ殺人事件』の続編を強烈プッシュしていたころ。
早川書房さんは、
「そのアンソニー・ホロヴィッツ新作をはるかに凌ぐ異例のスピードで100万部を突破した作品が、2020年の英国にはあって、それを刊行するよ(`・ω・´)!」
……と、東京創元社さんに【宣戦布告】したかどうかはさておきw、私はその作品にも興味を抱きました。
それが、リチャード・オスマンの『木曜殺人クラブ』
これが小説家デビュー作のようです。
最近の、早川書房さんのnoteにもその旨が記されています。



木曜殺人クラブ (ハヤカワ・ミステリ)

木曜殺人クラブ (ハヤカワ・ミステリ)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2021/09/02
  • メディア: Kindle版
Get it on Apple Books
ハヤカワ・ミステリとあるように、本書はいわゆるポケミスながら「特別装幀」なので(ビニールカバーではない)ブックカバーがついてます。

タイトルからは、アガサ・クリスティーの 『火曜クラブ』(創元推理文庫では 『ミス・マープルと13の謎【新訳版】』 )が想起されます。
帯に、「人生最後のミステリをあなたに」とあるように、本書の舞台は“イギリス初の高級リタイアメント・ビレッジ”を謳い文句にする、クーパーズ・チェイスという高齢者施設。
そこに〈木曜殺人クラブ〉と呼ばれる、未解決事件の調査を趣味とする老人グループがあったのですが、施設の経営者の一人が何者かに殺されたのをきっかけに、本物の殺人事件の捜査を行うチャンスがやってくる。

……というようなあらすじですが、全体的にテンポはゆっくりとしていて、ユーモアを交えながら話が進行していきます。
最近のトレンドもどんどん出てくることもあってか、翻訳は読みやすいです。

真相は……、ほろ苦いですね。悲しくなってきます(ノД`)
それでも、人生の黄昏時を迎えたメンバーが、前向きに明るく力強く生きようとする姿が感じられて、勇気づけられました。
ただ、この真相は読者が推理するにはかなり困難なような気が[あせあせ(飛び散る汗)]
一応、物語の前半に張られた伏線が終盤に回収されて(!o!)オオ!となる部分はありましたが[ひらめき]

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クローズドサークル三度(みたび);『兇人邸の殺人』 [Mystery]

今村昌弘さんの大人気シリーズ最新作『兇人邸(きょうじんてい)の殺人』を読みました[本]
シリーズ第1作、第2作については、以前拙ブログ(別ブログ)にも記しました。


「これは私たち自身が留まることを選ばざるを得ないクローズドサークルなんだよ


兇人邸の殺人 屍人荘の殺人シリーズ

兇人邸の殺人 屍人荘の殺人シリーズ

  • 作者: 今村 昌弘
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2021/07/29
  • メディア: Kindle版
Get it on Apple Books
序盤からパニックホラーの様相を帯び始め、さながらシリーズ第1作『屍人荘の殺人』の変奏曲であるかのような感覚を覚えましたが、デビュー作である『屍人荘〜』に比べても格段にリーダビリティーが進歩しており(デビュー作も相当レベルの高い作品ではありましたが)、途中からは一気に読んで堪能しました。
トリックの真相は、まさに特殊設定ミステリならでは。(若干アンフェアな気もしますが、確かに作者は作中にて条件を記しています。)
《追憶》で描かれる風景は、某作と雰囲気が似ている感じもなきにしもあらずですが……、悲しいですね(ノД`)

今回、名探偵役の剣崎比留子は、(遠田志帆さんが描く美しい)カバーイラストにも見受けられるように、籠の中の鳥状態になってしまいます。
そんな中で、ワトソン役の葉村譲との間に生まれた一歩先の関係性には好感です。

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「名探偵」愛を感じた『硝子の塔の殺人』 [Mystery]

知念実希人さんの『硝子の塔の殺人』を読みました[本]


硝子の塔の殺人

硝子の塔の殺人

  • 作者: 知念 実希人
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2021/07/30
  • メディア: Kindle版
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知念実希人さんは医師でもある小説家さん。
医療ミステリを多く記されているようですが、私にとっては初読みの作家さんです。
でも、本作は知念さんの作家デビュー10周年の集大成、ということで、本格ミステリ色の濃い作品となっています。
何より、オビに記された島田荘司さんや綾辻行人さんらの文言が気になったので、読んでみることにしました。


最初は、倒叙推理小説なのかなぁ、と思いながら、読んでいったのですが。。。

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